シューベルトの「未完成交響曲」D759 | かやくりひblog

シューベルトの「未完成交響曲」D759

今年はフランツ=シューベルトの没後180年です。

シューベルト、特にそのD759のロ短調交響曲には私には特別の思い入れがあり、このブログの最初の記事で紹介したMUSEUMでもMUSIC Pro68KでもMuseでも、まっ先にこの曲の入力を始めました。ところがどのソフトでも、せいぜいチェロバスの導入部の動機しかデータの入力ができないのです。

ブラームスにベートーヴェンの重圧がかかったようなものでしょうか。

自分をブラームスにたとえるとは不遜すぎるかも。

私のこの交響曲との「なれそめ」は小学校6年の時でした。

5年でクラス替えがあり、担任の先生は5年の時は音楽も教えたのですが、6年になったら音楽は専任の先生が担当しました。

この先生に音楽を教わったことで、多分私はクラシックが大好きになったのだと思います。学校教育で教えられたためにクラシックが嫌いになったという人も多いのでしょうから、その点、私は「素直な」児童だったのでしょう。

ある日の音楽の授業はシューベルトの話で、シューベルトは死んだからではなく未完成の交響曲を残した、との説明がありました。未完成といっても、当然、シューベルトが残したいくつもの未完成の交響曲のことではなく、あの「未完成交響曲」です。

当時、家にはステレオ装置などなく、シューベルトの未完成交響曲とはどんな曲なのか、とても気になりました。

ようやく中学2年になって真空管のポータブル電蓄なるものを買ってもらい、最初に買ったのが17センチ盤のシューベルトの未完成交響曲D759でした。カール=ミュンヒンガー指揮のヴィーンフィルのもので、A面が第1楽章、B面が第2楽章でした。

この電蓄が、ダーンテーブルも17センチしかなく、ブーという音がうるさくて、決して「オーディオ装置」と呼べる代物ではありませんでしたので、最初に針を落として聞いた時には、第1楽章のオーボエとクラリネットがユニゾンで奏でる第1主題までは何も聞こえなかったのではないかと思います。

それでも、それまで聞いたシューベルトのどんな曲とも違うものに感じて、これが本当にシューベルトの作品だろうかと信じられない気分になったことを覚えています。わずかに第1楽章第2主題には、いかにもシューベルトらしい旋律という感じがありましたが。

前述のオーボエとクラリネットのユニソンというのは本当に不思議な音色だと思います。彼がアマチュア・オーケストラと交流していたので、さまざまな楽器の音色に触れる機会に恵まれていたとはいえ、この曲を生前発表することはなかったのですから。

このような音色を思いついたのは、何かの曲でオーケストラの練習の最中に偶然、オーボエとクラリネットが同じ旋律を吹いたことでもあったのでしょうか?

最近になって、ベートーヴェンの第9交響曲など、ベーレンライター版のスコアが、今までの解釈とは違っていることに注目が集まっていることを知りました。

シューベルトのD944ハ長調交響曲も、ベーレンライター版は、第1楽章のAndanteもAllegro ma non troppoも、従来の版が4分の4拍子だったのに対し、2分の2拍子になっていますし。

そういえばシューベルトの交響曲全集のスコアを私はベーレンライター版で5年ほど前に購入したのです。

それなら、このスコアで入力すれば、今まで聞いてきたのとは違ったD759のロ短調交響曲が聞けるかもしれません。

この曲のデータ、少なくとも第1楽章については、呈示部まではようやく入力が終わりました。シューベルト没後180年のうちにはアップできそうです。