Museのメンバー指定とフィンガー指定のこと | かやくりひblog

Museのメンバー指定とフィンガー指定のこと

チャイコフスキーの第6交響曲「悲愴」のフィナーレは、主旋律を第1バイオリンと第2バイオリンが交互に受け持つという創意が施されている。

この創意の妙を知るためには、第1バイオリンと第2バイオリンが並ぶ近代的配置ではなく、それぞれ左右に分かれる配置のオーケストラで聞く必要がある。

最近の「N響アワー」などを見ていると、第1と第2のバイオリンが左右に分かれる配置の演奏も見られるようになって喜ばしい。

ところでこのような工夫はチャイコフスキーが第6交響曲のフィナーレで初めて試みたのかと思っていたら、主旋律でなければ、同じ第6でも第1楽章などでも使っているし、第5交響曲で木管が鳥のさえずりを模すあたりでも使っている。

どうやらチャイコフスキーは1つの旋律を別の楽器に振り分けるのが好きだったようだ。

ショスタコービチの第5交響曲の第3楽章でも、終盤近くのクライマックスでテェロのメロディーの伴奏のクラリネットで同じ手法を使っている。A管の第1クラリネットが16分音符でソシソシソシソシ、第2クラリネットがシソシソシソシソと吹くのだ。

Museで表現する場合、悲愴のフィナーレの場合は第1と第2のバイオリンを別メンバーにするから、ステレオ効果も出せて問題ない。それに対して、ショスタコービチの例の場合、クラリネットを第1と第2で別のメンバーにしないと、作曲者の意図は反映できないだろうな。




Museをご存じでない人のために、ここでちょっと解説をしておきましょう。

メンバーというのは楽器に相当するもので、MuseではAからO(オー)までの15プラス打楽器に固定されているZの、全部で16のメンバーを指定できます。

タイトルに出てくるフィンガーは、各メンバーをさらに10まで細分化できるものです。

ではMuseは最大160の音を同時に鳴らせることになるのかというと、1つのフィンガーで和音を鳴らすこともできますので、理論的には無限の音を同時に鳴らすことができます。

ただし、Z以外のメンバーは1つのメンバーが同時に多種類の音色や別々の位置での音を鳴らすことはできません。